村上佳鈴 (むらかみかりん)

インスタレーション ミクストメディア

約1.7m×1.8m×1m


おじいちゃんは家族から疎まれていた。程度の加減はあるが特に私の母からはとても憎ま
れていた。
母は物理的にも精神的にも暴力的な人で私は逆らうことができず、母が避けている流れで
私も徐々におじいちゃんを避けるようになった。
また、母も暴力のある家庭で育っていた。
母の話によると、おじいちゃんは出兵経験者で、大きな怪我を負ったものの無事に家族の
元に戻った。しかし、酒浸りの日々を送るようになり恩給も使いこんでしまうほどで生活
は困窮し、家族が止めようとすれば暴力を振るったらしい。
幼いころの私にとって一番の遊び相手だったおじいちゃんからは想像もできないような話
だが、母以外の者の態度や話もだいたい似たような感じである。
そういった理由からかおじいちゃんの遺品は少なく、写真も私が撮っていたもの以外はか
なり古いものばかりだった。
少ない遺品の中で軍恩と書かれた大きなアルバムはほんのりおじいちゃんの匂いがしてと
ころどころ空白があった。私はその空白に何枚か気に入った写真を入れてアルバムを完成
させることにした。きっとそのアルバムに必要であるものを。
今でも遊んでもらっていた頃のことはよく思い出すが、私が当時撮った写真を眺めている
とまたあの頃の遊びがしたくなった。
おじいちゃんにもらった少し古いカメラで写真を撮り合ったり、小学校にあるお気に入り
の場所で遊ぼう。
今はもうカメラは残っていないし、お気に入りだった場所は簡単には行けなくなった。
少し調子は悪いがよく似たフィルムのカメラを借りることにした。小学校に帰って葉っぱ
や木の実を拾ってみた。全く変わらないその場所の感触が懐かしい。その感触を絵に描い
て本物じゃないけど私とおじいちゃんの遊び場を作った。
この作品は私自身も遊ぶし、ぜひあなたにも遊んで欲しい。
どんぐりや葉っぱに触れて、絵に触れて「百年の森」の感触を楽しんでほしい。